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【重要なお知らせ】ブログの引越しをします

視聴者の方から過去のログが探しにくいといったご指摘やスマートフォンでの見にくさ、コンテンツの単調さ、内容の薄さなど色んな問題があり、今回ブログの引越しをさせていただくことになりました。 思えばこのブログも約5年くらい行なっていたんですね。 最初の方は本当に思ったことなんか書...

2016年3月17日木曜日

インフルエンザ患児に対する認知・行動療法

インフルエンザは、ウイルスの増殖を抑えるお薬(抗インフルエンザウイルス薬)で治療します。
インフルエンザは肺炎などを併発し重症化することがあるので、早めに治療することが重要です。

小児のインフルエンザ治療薬はタミフル、リレンザ吸入薬に加えて、イナビル吸入薬、また重症患児にはラピアクタ点滴薬の4種類が使用されます。病院やクリニックによって使用する薬剤の基準は異なると思いますが、概ね以下のように選択されると思われます。
0歳~1歳未満:抗インフルエンザ薬は使用しません。
1歳~5歳未満:吸入薬のリレンザとイナビルは使用できません。タミフルを第一選択と考えます。
5歳~10歳未満:吸入薬のリレンザを第一選択と考え、吸入ができなければタミフルの使用を考慮します。
10歳~20歳未満:リレンザの使用を考慮します。タミフルは厚生労働省からの連絡に従い原則として使用しません。
20歳以上:タミフルカプセル、リレンザ吸入薬、イナビル吸入薬の使用を考慮します。

吸入薬リレンザorイナビルを吸入できればいいですが、低年齢かつ吸入がしっかりできないであろう患児にはタミフルが優先的に使用されることとなります。
タミフルはA型・B型インフルエンザに有効な抗ウイルス薬です。ドライシロップ(粉)があるので、調整がしやすいことから1歳以上のお子さんから使用できるため、子どもに用いられます。
異常行動報道があって、患者さんから敬遠されているきらいがありますが、発熱に伴う熱性せん妄などタミフルと別の要因で生起したのではないかという見方もあります。ちなみに私も子どもの頃発熱しているときに、ざしきわらしさんのような妖怪を見たことがあります。
もちろんタミフルを使用せずに、自然治癒を狙うというのも悪くない選択だと思います。ただ親御さんとしては、早く良くなってほしいという気持ちや感染拡大させたくないという気持ちからタミフル内服を選ぶ方が多いと思います。

タミフル内服を選択したはいいものの、ここでいくつか問題があります。
①タミフルは5日間、1日2回飲み続ける必要がある。
②タミフルはわりと苦い。

薬が大丈夫な子どもでもタミフルは苦さが強いと感じるようです。
私も舐めてみると結構苦かったです。
そのため製薬会社からこのような冊子が配られます。













ヨーグルト・チョコアイスやこれらの飲み物にミックスする、これをもってしても薬を飲もうとしないお子さんに向けた認知行動療法の理論を使った‘タミフル飲ませ方のコツ’をお伝えします。

用意するもの
①お皿
②スプーン
③チョコアイスorヨーグルト

今回のチョコアイスはレディーボーデン・チョコ味を用いています。

レディーボーデンが必ず必要かというとそうではなくて、いつも食べているアイス(ヨーグルト)とちょっと違う特別感のあるもの、というのがポイントです。いつもと同じアイス+嫌いな薬とすると、いつものアイスを食べるのを嫌いになることがあります(これを認知行動療法ではガルシア効果ともいいます)。嫌いなものは少しでも減らしたいですし、いつもよりSpecialな体験であることから、普段と違うアイス(ヨーグルト)を使う、という理屈です。

①子どもに薬を飲む理由を説明する。
お子さんにあった伝え方をすればよいです。「薬飲んでばいばいきんしないとね」など何でもよいです。薬の苦さを強調する必要はありませんが、苦さを気にするお子さんであれば「ちょっと苦いかもしれないし、そうじゃないかもしれない。でも苦くてもお母さんが調整してあげるからね」みたいに言っておきましょう。「苦いくらいでごたごた言わないの!」など言われると落ち込んで、なお飲む気をなくすでしょう。「苦くないって!」と苦くないことを強調しても、これは大人が飲んでも苦いんです。本人が「にがい」って言ったらお母さんもちょっとだけ舐めて「ほんとうだ、にがいね」と伝えてあげてよいと思います。

②薬の準備をする。
アイスは混ざりやすいようにちょっと溶けた状態にします。 ここでのポイントは1/3だけにタミフルを混ぜることです。2/3はアイスのだけ。同じお皿の中にAアイスだけ、Bアイス+タミフルで別れている、かつそれは準備した人しかわからないようにするということです。

③食べさせる

お母さん・お父さんが食べさせることが前提になります。
お子さんが自分で食べる場合は、ちょっと使えないかもしれないわざです。

A:アイスのみ
B:タミフル+アイスミックス

A→A→A→B→A→A→B→A→A→A→B→A→B→A→A→A→B→B→…

こんなかんじでAアイスだけのもの、Bタミフルアイスをバラバラにあげていきます。
POINTは最初はA多め、なるべくランダムに。タイミングが重要で飲み込んだら次々に与えていく感じです。
スピード勝負です。

おいしい!→おいしい!→おいしい→?→おいしい?→おいしい!→?→おいしい?→おいしい→おいしい!→?→おいしい?→?→おいしい?→おいしい→おいしい!→?→??→…

お子さんの頭の中はこのようになっていることでしょう。
認知行動療法(応用行動分析)でいうと強化スケジュールといわれるものです。
嫌なものがくると予測されるとタミフルアイスを食べるという行動が起きにくくなるわけです。
この方法は嫌なものが来る以上においしいものが来る頻度があって、おいしいものがいつ来るかわからなないので、嫌な感じのものがきても食べ続けやすくなる、という原理です。

タミフル以外のドライシロップ製剤でも使えます。ぜひ試してみてください。

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