場所は筑波大学東京キャンパス文京校舎。場所がよくわからず迷子になってしまい、数分遅刻してしまった。
今回の事例検討会はタイトルの通り、参加者全員が看護師であった。つまり、看護師の看護師による看護師のための事例検討会ということになる。
これまで私は色んな認知行動療法の事例検討会に参加してきたが、全て看護師だというのはまれである。看護師に特化した検討会だからことの意見だったり、感想がいくつか聞かれた。
忘れないうちにそのときの感想・思った事などを記すこととし、今後の自分の活動にも役立てたいと思う。
参加者は7名。うち学生が2名であった。
事例は2例の発表であった。2例とも抑うつに対する認知行動療法の事例であった。
【おもしろかったこと】
①参加している看護師の認知行動療法に対する思いを知ることができた。
→事例検討会では、事例についての議論もさることながら、看護師自身の認知行動療法をやるにあたっての思いにも着目しながら進められていた。患者に対する認知についてはどの事例検討会でも扱われるわけだが、看護師の認知について知ることで「みんな同じ思いなのか」などと認知再構成される、自浄作用がこの事例検討会にはあるようである。
他の事例検討会でこういった内容がどう扱われるかというと、事例検討会後の懇親会・飲み会であーだこーだと言って語り明かされることが多い。検討会でこういった内容が出てくるのは、やっぱり看護師に限定していて、看護師が認知行動療法を臨床で行う上での問題を取り扱う事例検討会だからだということであろう。
②ケースを見ていたら、色んなことができそうなど考えている時間が楽しかった。看護師のケースは特にそう思う。
→事例検討会ではいつもそういったわくわくした気持ちになる。
しかし参加者が認知行動療法を学んできた履歴がわからないので、どういう形で説明すると伝わるのかという点で今回はチャレンジだった。「強化」とか「弱化」とかそういった専門用語を使わずに説明するのはとても苦労した点であった。
「よくわかりました」と理事にあたる方には言っていただけたが、どの程度参加者に伝わったのかわからなかった。
私が言いたかったのは…
「他者のポジティブなフィードバックによってお利口さん言動が強化されていた患者。でもポジティブなフィードバックをしてくれる人、つまり弁別刺激が退院後の環境でなくなってしまうので、お利口さん言動は生起しにくくなる。ここで問題なのは、今立てている長期的目標はお利口さん言動である
可能性があり、長期に維持するという観点からすると現実的ではないかもしれない。他者との会話する機会をもったり、本来やりたかった活動をするなどして行動内在的強化随伴性を意識した介入を行うのがベターではないか」
みたいなことが頭には浮かんできている。これじゃちっとも伝わらないので、それを崩しながら伝えてみた。
→個人情報に触れないように記述すると、こんな風に、ぼんやりとしていまった|д゚)
③「看護師は認知行動療法はしっかり学ばないとちゃんとできないだろう」という認知が自分にあるのに気付き、それは余計なおっせっかいであるということがわかった。
今回の看護師の事例やディスカッションを通して、検討会が終わって地下鉄に乗っているときにそう思った。
私だって、ちゃんと学んだのかと言われると甚だ疑問であるし、学び始めた段階から色んなルールを無視して認知行動療法をやりはじめた奴の1人である。たまにスタッフで認知行動療法をやりたいと言われたときに、「まだ早いよ」みたいなことを言っている自分もいて、つまりはあまり信用していなかったわけだ。
認知行動療法の実践家を増やしたいのであれば、なるべく失敗しない方法で伝え、倫理的な問題はクリアさせ、そしてできる限りやらせてみる。これが大切なんだと思う。
【今後に期待したいこと】
①アウトカムの表記
事例検討会の参加者に対する案内には
対象者の概要、アセスメント、CBTの目的、経過、評価、今後の課題、検討会で話し合いたいことを書くとよいとある。
参加者にBDIだったりQIDSといった尺度をつける習慣をつくってほしいと思う。
尺度についてわからないみたいな意見が多ければ、事例検討会前に講義の時間を短時間作っても良いと思うし。
今後看護師が認知行動療法を実施する上で、看護師自身のアウトカムを求められることがあると思う。アウトカムが得られなければ、看護師の認知行動療法は戦力外通告を受けてしまうし、それが当然である。アウトカムをきちんと示していくことが、看護師の認知行動療法の質を保証するということになるし、そのアウトカムをあげるための事例検討会だとも思う。
②発表者はパワーポイントでプレゼンする
資料にて発表するスタイルであったが、何か会議みたいで少し堅苦しい感じがあった。
また、認知療法学会や認知・行動療法学会でのケーススタディではパワーポイントで発表するというスタイルが主流である。今後看護が認知行動療法を実践していき、その成果を学会で伝えていく過程においては、このスタイルに慣れておく必要があると思う。
またプレゼンするというのも、社会人としてのよい勉強になる。
③事例発表者にスーパーバイザーを1人つける
認知行動療法のケースを発表する、というのは若干の勇気が必要である。
何度も発表している人ならまだしも初めて発表するなら敷居が高い。
看護として認知行動療法を行っているわけであるが、認知行動療法についてパーフェクトな知識や豊富な経験をしている臨床家は多くない。
というわけで、ケースをまとめる・発表するという過程では幾ばくかの不安を生じる。
そういった発表者をサポートするスーパーバイザーをつけることで、発表することに対する不安は軽減するだろうし、スーパーバイザー自身も認知行動療法を教えるという経験にもなる。
本来であれば、認知行動療法開始の時点でスーパーバイザーがつくのが理想であるが、それには多くの課題が発生するであろう。
これだけしか参加しないのはもったいないので、こういったサポーティブな活動を通して事例発表者を増やし、事例発表者が自信をつけて職場に帰っていってもらいたいと思うのである。
お金と時間があればまた参加したいと思う。
最後に、当日に色々とアドバイスをいただいた方や優しく教えていただいた方、参加していた皆さまに感謝いたします。
おつかれさまでした。
返信削除当日は参加できず、お会いできなかったのが残念でした。参加者よりとても勉強になりましたと感想を聞きました。ぜひまた参加していただきそのときは私も勉強したいと思いました。
おつかれさまでした。
返信削除当日は参加できず、お会いできなかったのが残念でした。参加者よりとても勉強になりましたと感想を聞きました。ぜひまた参加していただきそのときは私も勉強したいと思いました。
富樫さん
返信削除いつもコメントありがとうございます(^-^)富樫さんのいる時に今度は参加しますね。勉強になったとはとんでもないです、私の方がたくさん気づきをいただきました。
またお会いしましょう