【まえがき】
多くの人がやっているとその事が正しい事だと考える。
少数の人がやっているととても奇異なように感じる。
集団随伴性ともいうのだろうか。
そうして行動療法学会は良くも悪くも変化し続けている。
精神科における看護も同じ。
エビデンスは関係ない。
目新しいものがあればやる。
新しいものを取り入れうまくいかなければやめてしまう。
そうして行動療法学会は良くも悪くも変化し続けている。
精神科における看護も同じ。
エビデンスは関係ない。
目新しいものがあればやる。
新しいものを取り入れうまくいかなければやめてしまう。
あるシンポジウムの指定討論者が
「認知行動療法の定義は出来なくなっている、我々がどうしようとしても止められない」と言っていた。
認知行動療法は数年前から1人歩きし出しているようだ。
6年くらいまえに参加したとき、目指すべきセラピーがたくさんあって、見るもの聞くもの全てが新鮮だった。今では何が良くて何が良くないのか、正解は何で不正解が何なのか、分かりにくくなっている。
精神科看護はというとずいぶん前から迷走している。
なんとかしたいと思う人がいる。
変わったこともあるが、変わっていないことの方がずっと多い。
看護に認知行動療法が入って何が変わったのか。何が変わらなかったのか。
【徳島大会での看護師の研究発表】
なし。
ポスター発表は認知・行動療法に関したものではなくても発表できる感じなのでその手軽さから例年看護師の発表を見かけるが、今年は私のリサーチでは看護師はいなかった。認知療法学会ではもっとたくさんいるのにね。
【徳島大会での看護師参加数】
実際の数は知らないが、私のリサーチでは4人。
【今回の目標】
1日に質問行動を3回行う。
※[ ]内は質問行動の生起頻度数です。
そういえば、このルール支配行動を1年間くらい認知行動療法の研修のたびに行っていたら、そんなに不安もなく挙手ができるようになりました。質問内容のクオリティーは低いでしょう、馬鹿っぽい質問もたくさんしていると自負していますが、それでも楽しく参加することができています。認知行動療法以外の研修にもそれが生かされていて、いつでも勉強中は腑に落ちない感覚を探しています。
●1日目
〇ワークショップ
・エクスポージャーの心理教育のコツとしてのメタファーが参考になった。
「今の状態は借金を借金で返す泥沼の状態です。気分を借金しているのです。借金するたびに利息が増えていきますよ。ちょっとずつ借金を返済していきましょう。」
・不安・心配をいじって遊ぶ=不安弄り という表現が気に入った
・「私だったら何というと思いますか?」と言う問いをして、患者自身がセラピストになれるよう般化させるようにする。
・エクスポージャーとはドラクエである。敵を倒していくと自分は強くなる。強くなれば敵は簡単に倒せるようになる。でも敵はBossを倒してもいなくならない。
・エクスポージャーをライブで行うのは、天井をつくまででも良い。天井をついて下がってきたのを3ポイントくらい確認したら、セッションを終了して振り返りをする。
・エクスポージャーをする前に良く不安が上がったら、会話をしたりして不安を下げてじたばたしなくても耐えられる不安にして自然にスタートする。
・不安が下がってきたことを確認して「時間がたったので」と言われる。不安は時間が経てば下がるので「そうそう、その感じですよ」という。
・これまでと別の方法で不安の下げ方を練習すること=エクスポージャー
・適宜動機づけを行っていく。
ワークショップ後、2点ほど質問させていただいた。エクスポージャーセッションでは、エクスポージャーは20~30分行い、20分くらいで導入、10分くらいで振り返りで行っているということをうかがった。
エクスポージャーはセラピストよって実はやり方が違う。
患者さんが体験することは同じだが、教示の仕方や意識の向けさせ方・不安をいじくり回す時間は違うんだなぁと感じた。
エクスポージャーの基礎ということもあるかもしれないが、高橋先生のエクスポージャーで感じたことは教科書に書いているようなことを厳密に実施している。ただそれを厳密にするためには、導入には工夫を凝らしながら丁寧に行い、動機づけを適宜する。当たり前のようだが、これが難しいところである。
ドキドキした感覚を避けるパニック症の人に縄跳びをするエクスポージャーでは、ドキドキを避けるために縄跳びを40回飛ばせて、ドキドキを感じてもらうために胸に手を当てる・そのときの不安を直後・3分後・5分後に聞いていく。
ここで思ったのはドキドキを避けているのであれば、ドキドキが持続するように縄跳びを飛び続けるのようなエクスポージャーを私はしそうなのだが、どんな意図があるんだろう。そう思って質問すると、「何もしていないのにドキドキした感覚が恐怖だから」という解答。なるほど、運動しているんだからドキドキしていると頭の中で認知が生起すれば(これも安全確保行動なのかもしれないが)、
不安反応は起こらないだろう。
高速道路を回避するパニック症の人には、一緒に同乗して不安の記録をとっていった。
ところどころ安全確保行動になる行動についてはペテンにて妨害した。
たとえば10時10分でしっかりとハンドルを握って両腕に力を入れる、という安全確保行動をとっているのに気付いた高橋先生は、「8時20分くらいのところで肩をだらんと力を抜くとリラックスできますよ」と教示した。高橋先生自身もペテンだと言っていたのであるが、高橋先生の雰囲気からそれはペテンを疑うことなく患者さんはその教示通りに行う。
そこで思った。もし認知行動療法のスペシャリストが詐欺師に転職したら、すぐに詐欺師のスペシャリストになるだろう…。
摂食障害を抱える患者さんをみる頻度は、カウンセラーよりも医療の方が多いように感じる。最近はそうでもないが、こうした過食嘔吐の人の入院患者さんの看護の発表もよく聞く。だから心理士よりも看護師がよく接するであろうから看護師が頑張って取り組んでいってほしいという思いが私にはある。だから摂食障害のケース発表を聞くと、多少悔しい思いもする。だが勉強になったことと今後気をつけたいこともあった。
認知行動療法の多くはマイルール、つまりルール支配行動の調整から始まる。
マイルールを守り続けるあまり、何らかの生活上の問題を抱えているので認知行動療法を行うからである。
まず聞きながら思ったのは、セッションの間隔が1か月に1~2回となっていること。
セッションというのはクライエントの生活のほんの1部分に過ぎないわけであるが、月1回となりさらに日常的なデータが提示されていなかったので、認知行動療法によってよくなったと裏付けることは困難であると感じた。
それでもクライエントに日常的な問題を聞いて問題に則した介入を展開していく柔軟性は素晴らしかった。
食へのこだわりが強かった。このケースを原井先生はケーススタディの最後に、食欲恐怖であるといい、会場から少しどよめきが起こった。食欲を感じることを避けているのではないかと。
どよめきに若干の違和感があった。それは発表者が納得している様子ではなかったし、食欲を避けるという回避行動が発表中に聞かれなかったからだ。
食欲を避けるための行動は
http://thylakoid.jp/syokuyoku10/
このホームページのように、水をよく飲む・運動するなどの安全確保行動があると思われる。それが発表ではわからなかった。食欲を回避というのは表現としてよくわからないが、つまりは空腹の回避だろうか。空腹の回避だとしても、血糖上昇するものの頻繁な摂食など回避行動があってもよいだろう。だが、それがわからなかった。
過食日を設定するというアプローチは過食嘔吐の場合によく行われるが、ルールへのアプローチはいわゆる儀式妨害だと思うので、他に過食の場所を変えるとか種類を変えるとかそういったこともよいと思った。
治療目標が過食をなくすこととなっているのに、最終的に「週に1~2回になって、それもあってよいと思うので良い」とクライエントに言われて終結となっている。それをカウンセラーはどのように感じたのだろうか。
シンポジストに送ったメッセージを一部改変して転記する。
「シンポジウム色々と参加しましたが、私としては一番面白い内容でした。昨年の学会で「尺度を改善させるんじゃない、生活を改善させるんだ、何やってんだこの学会は」と先生がおっしゃって、それ以降私も意識して、行動カウントしてきました。しかし、文献等ではあまりアイデアが載っていなくて、上手く出来ない。しかし今回のシンポジウムでたくさんのアイデアが表現されていたので、「そうか、あのときこんな行動をカウントすればいいんだ」と学ばせていただきました。
聞いていてわからなかったのが、首藤先生がニーズが満たされているのか確認するのに行動指標は有用だとおっしゃっていました。日常の困りごとを扱うほうが行動指標としてはフィードバックしやすいと思いますが、瀬口先生のケースの発表で、退室時間をカウントしてました。もしかしたら他にもデータがあって、エクスポージャーが上手く般化されているのかを見る行動指標なのかもしれませんが、そのあたりの意図がわからなかったです。松見先生が、「出会って10年くらい経つが、ここにいる先生方は毎日行動指標を取り続けてるのです」とおっしゃっていてそれに感銘を受けました。そんな臨床家いいなぁと思い、頑張ってカウントしていこうと思いました。たくさん学ばせていただきありがとうございました」
セッション中にある強迫行動を行ってもらい(カウンセリングルームで強迫行動を作るような感覚)、その変化をカウントしていくというのは目からウロコという感覚。それ自体エクスポージャーになるだろうが、そのセッションでやった他のエクスポージャーが般化されているのか確認にもなるなぁと感じた。
エクスポージャーでは安全確保行動をおのずと妨害する、と考えていたがシンポジストの発表をきくとどうやら違うらしい。研究結果だけを聞くと、
・恐怖がしっかり高まれば、その後安全確保行動を行っても効果がある。
・安全確保行動は非機能的思考を反証する機会を妨げる(安全確保行動は認知再構成を阻害するということか)。
・安全確保行動を制限しなくても不安が減る。
といったことを言っていた。
金井先生が最後の方で言っていたのは、サプライズを与えていくのが大事で、心理教育の中でなるべく認知を変えるようなことはしない方がいいこと、一緒にやりながら体験を通して感じてもらうということが大切という。
RO連合/SR連合
訓練量:少ない/多い
行動の名前:目標指向性行動/習慣
結果の予測・評価:あり/なし
環境変化に対する臨機応変性:あり・なし
認知的技法と行動的技法をつなぐもの=命題アプローチ
命題アプローチのメリットは、学習の個体差に認知変数を考慮しやすいなど。
色んな言葉が飛び交って1/20もわかっていないが、もう少し勉強したいなぁとも思ったし、このシンポジウムをビデオで撮ったものを何度もくり返しみて学習したいと思ったのは、シンポジストのうまさなのかもしれない。
【あとがき】
色んな人とディスカッションして自分たち看護師がやるべきことがはっきりと見えてきた学会でもあった。ここには詳細は書くことはできないが、看護師の独自性をはっきした臨床を次の新潟に向けて取り組んでいきたいと感じることができた学会だった。
エクスポージャーの基礎[質問行動:1]
高橋史
・エクスポージャーの心理教育のコツとしてのメタファーが参考になった。
「今の状態は借金を借金で返す泥沼の状態です。気分を借金しているのです。借金するたびに利息が増えていきますよ。ちょっとずつ借金を返済していきましょう。」
・不安・心配をいじって遊ぶ=不安弄り という表現が気に入った
・「私だったら何というと思いますか?」と言う問いをして、患者自身がセラピストになれるよう般化させるようにする。
・エクスポージャーとはドラクエである。敵を倒していくと自分は強くなる。強くなれば敵は簡単に倒せるようになる。でも敵はBossを倒してもいなくならない。
・エクスポージャーをライブで行うのは、天井をつくまででも良い。天井をついて下がってきたのを3ポイントくらい確認したら、セッションを終了して振り返りをする。
・エクスポージャーをする前に良く不安が上がったら、会話をしたりして不安を下げてじたばたしなくても耐えられる不安にして自然にスタートする。
・不安が下がってきたことを確認して「時間がたったので」と言われる。不安は時間が経てば下がるので「そうそう、その感じですよ」という。
・これまでと別の方法で不安の下げ方を練習すること=エクスポージャー
・適宜動機づけを行っていく。
ワークショップ後、2点ほど質問させていただいた。エクスポージャーセッションでは、エクスポージャーは20~30分行い、20分くらいで導入、10分くらいで振り返りで行っているということをうかがった。
エクスポージャーはセラピストよって実はやり方が違う。
患者さんが体験することは同じだが、教示の仕方や意識の向けさせ方・不安をいじくり回す時間は違うんだなぁと感じた。
エクスポージャーの基礎ということもあるかもしれないが、高橋先生のエクスポージャーで感じたことは教科書に書いているようなことを厳密に実施している。ただそれを厳密にするためには、導入には工夫を凝らしながら丁寧に行い、動機づけを適宜する。当たり前のようだが、これが難しいところである。
ドキドキした感覚を避けるパニック症の人に縄跳びをするエクスポージャーでは、ドキドキを避けるために縄跳びを40回飛ばせて、ドキドキを感じてもらうために胸に手を当てる・そのときの不安を直後・3分後・5分後に聞いていく。
ここで思ったのはドキドキを避けているのであれば、ドキドキが持続するように縄跳びを飛び続けるのようなエクスポージャーを私はしそうなのだが、どんな意図があるんだろう。そう思って質問すると、「何もしていないのにドキドキした感覚が恐怖だから」という解答。なるほど、運動しているんだからドキドキしていると頭の中で認知が生起すれば(これも安全確保行動なのかもしれないが)、
不安反応は起こらないだろう。
高速道路を回避するパニック症の人には、一緒に同乗して不安の記録をとっていった。
ところどころ安全確保行動になる行動についてはペテンにて妨害した。
たとえば10時10分でしっかりとハンドルを握って両腕に力を入れる、という安全確保行動をとっているのに気付いた高橋先生は、「8時20分くらいのところで肩をだらんと力を抜くとリラックスできますよ」と教示した。高橋先生自身もペテンだと言っていたのであるが、高橋先生の雰囲気からそれはペテンを疑うことなく患者さんはその教示通りに行う。
そこで思った。もし認知行動療法のスペシャリストが詐欺師に転職したら、すぐに詐欺師のスペシャリストになるだろう…。
〇自主シンポジウム
ビデオフィードバックを用いた臨床スキル向上の試み-IPRを用いたロールプレイの基礎と応用[質問行動:0]
模擬面接をビデオにとってそれをもとにSVを行うという取り組みの発表。
実際にSVの様子を実演していただいた。
別にSVの内容が認知・行動療法に特化した内容ではなく、さらにフロアそっちのけで30~40分ロールプレイをしていたので、次第に眠くなってきた。面接の仕方とその質をあげようという取り組みはとても良いと思うが、この方法だと時間がかかり過ぎて仕方がない。バイザーの時間もかなり拘束する。
基本的にセラピストが困っていることを伝えて教えをこう。しかし面接の正解を探したり、指導を行うのではなく、良い点をフィードバックするのがポイントのよう。良い点しかフィードバックしないことのデメリットとして無難な意見しかでないが挙げられるようである。
最初に思ったのは、臨床心理士という資格はこういった臨床スキルの向上のために陪席したりビデオフィードバックしたりすると思うが、そんなに真新しいものなのだろうか。
次にクライエント役を演じることが必要になるが、ロールプレイするとクライエントを演じられていない人でてくると思う。またクライエントの認知の特徴をとらえきれてないと面接の80%くらいはセラピストの思い込みによって展開されてしまうのではないだろうか?
ただ実際の面接をビデオにとってSVを受けるというのは有益なことだと思うので、どこかでチャレンジできたらよいなぁ。
模擬面接をビデオにとってそれをもとにSVを行うという取り組みの発表。
実際にSVの様子を実演していただいた。
別にSVの内容が認知・行動療法に特化した内容ではなく、さらにフロアそっちのけで30~40分ロールプレイをしていたので、次第に眠くなってきた。面接の仕方とその質をあげようという取り組みはとても良いと思うが、この方法だと時間がかかり過ぎて仕方がない。バイザーの時間もかなり拘束する。
基本的にセラピストが困っていることを伝えて教えをこう。しかし面接の正解を探したり、指導を行うのではなく、良い点をフィードバックするのがポイントのよう。良い点しかフィードバックしないことのデメリットとして無難な意見しかでないが挙げられるようである。
最初に思ったのは、臨床心理士という資格はこういった臨床スキルの向上のために陪席したりビデオフィードバックしたりすると思うが、そんなに真新しいものなのだろうか。
次にクライエント役を演じることが必要になるが、ロールプレイするとクライエントを演じられていない人でてくると思う。またクライエントの認知の特徴をとらえきれてないと面接の80%くらいはセラピストの思い込みによって展開されてしまうのではないだろうか?
ただ実際の面接をビデオにとってSVを受けるというのは有益なことだと思うので、どこかでチャレンジできたらよいなぁ。
〇シンポジウム
脳からみたうつ病と認知行動療法[質問行動:0]
岡本泰昌
認知行動療法でうつ病の寛解率は5割で低い。ピルプラセボとは有意差はあるけど、他の心理教育・力動などとは有意差がないなど認知行動療法のメタ分析の結果を色々教えてもらった。聞き取れない部分も多かったが、つまりはそんなに効果が十分と言い切れないのがCBTということのようだ。
日本は世界有数のMRI大国で、MRIを多く保有しているんだそう。
MRIの画像の話をたくさんされて、いつかしっかり勉強しようと考えているが、果たしてどのように勉強すればよいのか知らない。
日本は世界有数のMRI大国で、MRIを多く保有しているんだそう。
MRIの画像の話をたくさんされて、いつかしっかり勉強しようと考えているが、果たしてどのように勉強すればよいのか知らない。
〇ワークショップ
子どものメンタルヘルス教育に生かす社会的スキル訓練[質問行動:1]
佐藤寛
・小学生向けのSSTプログラムの一部を体験できた。
・断れない子は「断ると悪い」という認知がある。でも実は別に断られても傷つかないことがあるということに気付いてもらうとよい。
・標的Skillを設定することは、非定型ではなく肯定型にする。「○○しない」という表現がASD児だとわからない可能性がある。
・おすすめの尺度は目標スキルの児童自己評価尺度であるが、信頼性・妥当性の問題がある。
・般化させていくために、授業でやったことをに学校生活でも起こせるように環境を整備して、行動が自発したときはそれを他の生徒の前で取り上げる。それが標的行動とかけ離れていても、少しでもかすっていたら、それでもよい。
・小学生向けのSSTプログラムの一部を体験できた。
・断れない子は「断ると悪い」という認知がある。でも実は別に断られても傷つかないことがあるということに気付いてもらうとよい。
・標的Skillを設定することは、非定型ではなく肯定型にする。「○○しない」という表現がASD児だとわからない可能性がある。
・おすすめの尺度は目標スキルの児童自己評価尺度であるが、信頼性・妥当性の問題がある。
・般化させていくために、授業でやったことをに学校生活でも起こせるように環境を整備して、行動が自発したときはそれを他の生徒の前で取り上げる。それが標的行動とかけ離れていても、少しでもかすっていたら、それでもよい。
2日目
〇ケーススタディ
習慣化した過食嘔吐への認知行動療法-マイルールへの挑戦と調整[質問行動:2]
木内彩乃
摂食障害を抱える患者さんをみる頻度は、カウンセラーよりも医療の方が多いように感じる。最近はそうでもないが、こうした過食嘔吐の人の入院患者さんの看護の発表もよく聞く。だから心理士よりも看護師がよく接するであろうから看護師が頑張って取り組んでいってほしいという思いが私にはある。だから摂食障害のケース発表を聞くと、多少悔しい思いもする。だが勉強になったことと今後気をつけたいこともあった。
認知行動療法の多くはマイルール、つまりルール支配行動の調整から始まる。
マイルールを守り続けるあまり、何らかの生活上の問題を抱えているので認知行動療法を行うからである。
まず聞きながら思ったのは、セッションの間隔が1か月に1~2回となっていること。
セッションというのはクライエントの生活のほんの1部分に過ぎないわけであるが、月1回となりさらに日常的なデータが提示されていなかったので、認知行動療法によってよくなったと裏付けることは困難であると感じた。
それでもクライエントに日常的な問題を聞いて問題に則した介入を展開していく柔軟性は素晴らしかった。
食へのこだわりが強かった。このケースを原井先生はケーススタディの最後に、食欲恐怖であるといい、会場から少しどよめきが起こった。食欲を感じることを避けているのではないかと。
どよめきに若干の違和感があった。それは発表者が納得している様子ではなかったし、食欲を避けるという回避行動が発表中に聞かれなかったからだ。
食欲を避けるための行動は
http://thylakoid.jp/syokuyoku10/
このホームページのように、水をよく飲む・運動するなどの安全確保行動があると思われる。それが発表ではわからなかった。食欲を回避というのは表現としてよくわからないが、つまりは空腹の回避だろうか。空腹の回避だとしても、血糖上昇するものの頻繁な摂食など回避行動があってもよいだろう。だが、それがわからなかった。
過食日を設定するというアプローチは過食嘔吐の場合によく行われるが、ルールへのアプローチはいわゆる儀式妨害だと思うので、他に過食の場所を変えるとか種類を変えるとかそういったこともよいと思った。
治療目標が過食をなくすこととなっているのに、最終的に「週に1~2回になって、それもあってよいと思うので良い」とクライエントに言われて終結となっている。それをカウンセラーはどのように感じたのだろうか。
〇自主シンポジウム
臨床現場で行動指標を活用する-現場からの有効性・有用性の発信を目指して[質問行動:1]
柳澤博紀・瀬口篤史
シンポジストに送ったメッセージを一部改変して転記する。
「シンポジウム色々と参加しましたが、私としては一番面白い内容でした。昨年の学会で「尺度を改善させるんじゃない、生活を改善させるんだ、何やってんだこの学会は」と先生がおっしゃって、それ以降私も意識して、行動カウントしてきました。しかし、文献等ではあまりアイデアが載っていなくて、上手く出来ない。しかし今回のシンポジウムでたくさんのアイデアが表現されていたので、「そうか、あのときこんな行動をカウントすればいいんだ」と学ばせていただきました。
聞いていてわからなかったのが、首藤先生がニーズが満たされているのか確認するのに行動指標は有用だとおっしゃっていました。日常の困りごとを扱うほうが行動指標としてはフィードバックしやすいと思いますが、瀬口先生のケースの発表で、退室時間をカウントしてました。もしかしたら他にもデータがあって、エクスポージャーが上手く般化されているのかを見る行動指標なのかもしれませんが、そのあたりの意図がわからなかったです。松見先生が、「出会って10年くらい経つが、ここにいる先生方は毎日行動指標を取り続けてるのです」とおっしゃっていてそれに感銘を受けました。そんな臨床家いいなぁと思い、頑張ってカウントしていこうと思いました。たくさん学ばせていただきありがとうございました」
セッション中にある強迫行動を行ってもらい(カウンセリングルームで強迫行動を作るような感覚)、その変化をカウントしていくというのは目からウロコという感覚。それ自体エクスポージャーになるだろうが、そのセッションでやった他のエクスポージャーが般化されているのか確認にもなるなぁと感じた。
〇自主シンポジウム
不安症のエクスポージャー療法-安全確保行動に対するアプローチに焦点を当てて[質問行動:0]
荒井穂菜美・伊藤理沙
エクスポージャーでは安全確保行動をおのずと妨害する、と考えていたがシンポジストの発表をきくとどうやら違うらしい。研究結果だけを聞くと、
・恐怖がしっかり高まれば、その後安全確保行動を行っても効果がある。
・安全確保行動は非機能的思考を反証する機会を妨げる(安全確保行動は認知再構成を阻害するということか)。
・安全確保行動を制限しなくても不安が減る。
といったことを言っていた。
金井先生が最後の方で言っていたのは、サプライズを与えていくのが大事で、心理教育の中でなるべく認知を変えるようなことはしない方がいいこと、一緒にやりながら体験を通して感じてもらうということが大切という。
3日目
〇ケーススタディ
コミュニケーションを苦手とする20代男性に対する認知行動療法-積極的回避に焦点を当てた介入[質問行動:2]
栗原愛
自主シンポジウム
連合学習理論の展開と臨床との接点[質問行動:0]
国里愛彦・澤幸祐
RO連合/SR連合
訓練量:少ない/多い
行動の名前:目標指向性行動/習慣
結果の予測・評価:あり/なし
環境変化に対する臨機応変性:あり・なし
認知的技法と行動的技法をつなぐもの=命題アプローチ
命題アプローチのメリットは、学習の個体差に認知変数を考慮しやすいなど。
色んな言葉が飛び交って1/20もわかっていないが、もう少し勉強したいなぁとも思ったし、このシンポジウムをビデオで撮ったものを何度もくり返しみて学習したいと思ったのは、シンポジストのうまさなのかもしれない。
【あとがき】
色んな人とディスカッションして自分たち看護師がやるべきことがはっきりと見えてきた学会でもあった。ここには詳細は書くことはできないが、看護師の独自性をはっきした臨床を次の新潟に向けて取り組んでいきたいと感じることができた学会だった。
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