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【重要なお知らせ】ブログの引越しをします

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2015年10月7日水曜日

2016年 日本認知・行動療法学会 看護師が参加してみた件(10/22更新)

2015102()4()宮城県・仙台国際センター・東北学院大学土樋キャンパスで開催された日本認知・行動療法学会に参加。


 そのときの様子と感じたことを看護の観点から記す。


 そして今大会の私の参加目標は自己研鑽を高めることだった。自己研鑽を高めるということを目標としたとき、私自身が変えるべきターゲットとする行動はなんだろうと考えていた。


「そうだなぁ、わからないことを大会中10個質問しよう」
ということで、ターゲット行動は質問行動ということに。質問行動をあらかじめ課題分析。
「①自己紹介、②発表など良かったことを一言、③質問」だな。

「よしよし、頑張ろう」と思っていざ会場へ。







Day1:10月2日()

質問行動:10(ケーススタディ1:5回、自主企画シンポジウム51回、ケーススタディ2:3回、ポスター発表:1回)

…なんと1日で目標の10回を達成できた。質問はかなり緊張するのであるが、こんな勝手なルール支配行動を作っておくと、そんな直接随伴性にも鈍感になるわけで。わからないことを聞き逃さないように、かなり集中して発表を聞けた。あまり欲張りすぎると浮いてしまいそうという認知もあいまって、質問1人目は誰かに譲っていた。「他にご質問の方は?」と司会が話した瞬間に挙手する。

ただ思うのは、参加者静か過ぎ。参加してるんですか?傍聴しているんですか?という感じで、だからこそ1日目で目標が達成できたっていうのは嬉しいやら悲しいやら。



①ケーススタディ(質問行動5)
 200人くらいの大きな部屋に参加者16人。少なすぎ。時間経過するたびにその理由もなんとなくわかってきた。患者のことを演者に質問しても「たぶんそれは○○ということだろうと思います。患者に直接は聞いていませんが」の類の発言をよくおっしゃっていました。また参加者に質問されたことをすぐに隣にいる共同演者の専門行動療法士の先生に聞く。
…「うーん、あまりかっこよくないなぁ」と思いながらその様子を拝見していました。

そして聞いていて思ったのは、この演者が治したというよりも周りの訪問看護師・介護士が徹底的な儀式妨害を行ってくれたので良くなったのではないかということ。
症状に合わせた的確な指示をしたみたいな考察もありましたが、妄想に近いなぁと思いましたし、この発表を見ている限り、このあまりかっこいいと思えない演者の指示がそんなに効力を発揮するのかということ。
面倒くさい指示をされるとたいてい看護師なら反論するか、別のやりやすいことを提案するか、指示どおりにやらないということが起こりえます。でもここでこのケースが改善していったのは、訪問看護師・介護士がうまかったということだと思います。おそらくは訪問看護師の中にCBTを扱える人間がいたのではないかとも思いました。
うまく主治医に乗せられたふりをしながらCBTを行なって、そして私(主治医)が治したんだよと言っても異論を唱えない。そんな素晴らしい訪問看護師がいるのかもしれないなぁ、と余計なイメージを膨らませながら聞いていました。

座長のOCDの行動療法を専門とする医師も「なんでこうなるのか信じられない」「これで簡単に行くわけじゃない」とおっしゃっていましたが、これは座長の優しい皮肉にもとれる発言でした。




②シンポジウム「開業カウンセリングルームにおける、認知行動療法のアウトカム」(質問行動1)
心理の世界ではアウトカムを提示できていない、まず参加者の多くがpre-postのデータをとっていないという衝撃の事実。

―学会発表で出てくるケースなんかは良くなった人だけを選択的に発表しているだけ。今回は良くなった人、よくならなかった人のデータを出しているー(企画者の発言)

看護だとCBTの質が落ちると考えちゃう人多いんじゃないかなぁと思うんです。私も以前某学会で、「良くなったケース」「良くならなかったケース」全てを出し合って、看護師のCBTのアウトカムを出していくことが、この妄想を打破することになるんじゃないですかね、と言ったことがある。企画者の言葉を聞いて、それを思い出した。

データをまとめるのが大変だった、と苦労が伝わってくる発表であった。でも、データ管理ソフトなんかで日頃からデータ管理しておけばいいんじゃないか、データ管理(もしくは統計処理)を専門とする人やしくみを作っておけばいいんじゃないか。そんなことを考えていた。

‘看護CBTアウトカムセンター’を作っちゃおう。

看護の連携力()、組織力()って超絶だから、できそうな気もするけどなぁ。

ほらほら、最近うつに対する看護師のCBTが診療報酬化されるっていう噂があるでしょ。あれって一見良いことのようだけど、アウトカム次第では結構リスクある話。

看護のCBTアウトカムが素晴らしければ、どんどんCBTを看護が行っていけばよいし、アウトカムがいまいちならば教育を考えていけばよい。だからアウトカムなしには、看護CBTは前進しないよね。

アウトカムの共通の尺度としては
GAF
QOL尺度(滋賀医大の田中先生はK6(?文字が間違っているかもしれない)を使用していると)
③うつ病ならHAMD(なごやメンタル原井先生は治験で使われるような尺度、つまり自記式ではないものを使うとよいと)など疾患特異の尺度
が良いと話していた。

看護師がCBTを行いますというときに、必ず‘看護CBTアウトカムセンター’に尺度データを送付する。ケースの進捗についてセンターがサポートして看護CBTの孤立を防ぐ、スーパーバイズ機能もある。ケースが終了したときに、終了理由(中断・終結・エスケープ・拒否)と終了時のデータを入れる。

どうだろうか。心理の世界で作れていないシステムをお先に看護の世界でいただきたい(´・ω・`)
(これは2日目のシンポジウム「認知行動療法のスーパービジョン」の内容とも関連している)
指定討論の原井先生が、「外科手術のアウトカムもはっきりしたものはない、どのような手技がよいのかそういったデータを出していないから。」と聞いてなるほどなぁと。




③ケーススタディ
不完全恐怖・確認強迫のケース。こういったケースを受け持ったことがないためとても勉強になった。
ちゃんと読めたか不安になって、一冊本を読むのに8時間くらいかかる。
中途半端な感覚を持ったままにしましょう。という心理教育で、ERPを行っていく。
ペーシングがとても印象深かった。メトロノームのようなもののリズムに合わせて本のpageをめくっていって、それで読んだことにする。読み直しはしない。ある意味、速読の練習みたいになっているなぁとも思う。
比較的ディスカッションの時間があったので、「CBTを受けてみたいといったクライアントの機能はどういったものがあるのか」「自動思考がなぜこの文脈で出てきたのか?」「カウンセラーのいいですねというプライアンスはカウンセリング上起こりうることであるが、そのルール支配行動を続ける限り般化の可能性は低い、般化させるためにどのような工夫をしているのか」「写真を見ていると一見乱しているようでディテールをみると規則正しさが残っていませんか?」といった質問をさせていただいた。

それにしても私は、質問したいことがあってもそれをうまく言葉で表現できないことが多い。
西川先生(どうやってフェードアウトするの?セラピストの言う通りにやることが強化されているだけ、それも規則正しく乱しているということになっている。家族とか他者に‘よかったね’という随伴性を使っていくのが大切だよ、うまくセラピーをフィードバックしていくために)やハスキーパーマの先生(疲労感ってどういうものなの?身体のどこに何を感じているってことなの?不完全っていうものを明確にする必要があるんじゃないの?)、嶋田先生(モヤモヤそのものにさらしていくのが必要、汗と震えは生活場面でも出ていた?8時間かけて本を読むのは苦痛しかなかったの?本をぐちゃぐちゃにするのが必要なんだよ、本を縦積みにして本と一緒に寝るくらい、治療者が強迫行為を助長しているのでは?カウンセラーに賢くならないようにすることが大事)がうまく、そして優しく質問していた。

そういう説明力?表現力?が自分に不足しているんだなぁと思っていた。

そういう周りの先生の質問や意見を聞いて、まるで自分のケースのアドバイスを受けているように、「なるほど」「おもしろいなぁ」と思いながら聞いていた。

そして、こうやって他の著名な人の質問をメモっていくと、自分の質問した内容もあながち間違っている内容じゃなかったんだなぁと思った。



④大会企画シンポジウム「認知行動療法の工夫が生まれる瞬間」(質問行動0)

シンポジストの発表・指定討論の発表のあと質問タイム。
「質問ないですかーないと寂しんですけど」と話題提供者より発言があった。
しかしここでの質問行動ではかなりの確立操作があった。

その前の指定討論で西川先生が3人のシンポジストのディスる。

まあこれは想定内というか、だからこそ面白くなった。

でもこれに被せて神村先生もシンポジストをディスってきた。

神村先生が西川先生のことを「文脈ぶっこわし発言」と言っていたが、自分もそうなんじゃないですか?と言いたくなる。マイナスにプラスをぶつけるからこそ議論になる、しかしマイナスにマイナスをぶつけられても、これ以上はマイナスの議論で終わってしまう。企画段階でそういったことも考えながら、ぜひシンポジウムを盛り立ててほしいかったかなとも思う。まあこれは私が質問できなかった言い訳なのだが。

それでも、あえて質問をするとしたら、指定討論者が赤・黄色の装いだったので「カラフルでかっこいいですね」「そのスーツどこで売っているんですか?」かな( ;;)


でもシンポジストの発表内容は素晴らしかったです。


岡嶋先生の行動療法課題の工夫では、課題達成リストについて述べていた。

岡嶋語録セルフモニタリングを書ける人には良くなる人が多い。主目的は課題遂行のリマインダー。リストに×は作らない。不安階層表は役立たない。ゆるさを教えたい。行動変容の課題を自分で考えられるようになったら治ったも同然。良い暇つぶしの提案をする。目に見える行動だけに〇するだけじゃなく、「やめようと気づいたら〇」というのも努力。ほめどころを増やす工夫をする。リストに〇が少なかったら、それは課題を出した自分が悪い。こなせるようになったらバージョンアップ。行動変容を起こそうと思うなら、快適な日常に若干の面倒を作れば変化する動機が育つ。ジェンガをひとつひとつ抜いていくように面倒なことをわざとやってみる、ルール崩し。

実は最近岡嶋先生にスーパーバイズを受けていた。メール上だったので、文章の羅列からイメージをふくらますのがとても難しいかった。
でもこのシンポジウムのスライドやプレゼンはこの言葉ひとつひとつ、自分にアドバイスをもらっているように聞いていた。
このシンポジウムに参加できてこれだけでよかったと思った。


指定討論

西川先生
随伴性形成行動なのか、ルール支配行動なのか。前者なら弱化されるからいいけど、後者なら弱化されないからたち悪いんだよ。
シンポジスト1について:同じ行動クラスの中で必ずしも顕在的でないかすかな行動にも注目し、賞賛を与えるシェイピングの名手
シンポジスト2について:学校らしさに振り回されていないか?ABAを学ぶ人はターゲット行動を設定するけど、ABAにはその狭さみたいなものがあって、ABAで扱えない行動は無視する傾向にあるんだよ。授業を受けてるフリをする人は多いでしょ、私だって授業受けてるフリして本ばっかり読んでいた。
シンポジスト3について:リソースを使うのは工夫ではなく、普通。

この西川さんの岡嶋さんはシェイピングの名手という言葉を聞いて納得。スーパーバイズのとき実はこれはどういう理論で行っているのだろうとモヤモヤしながら聞いていた部分もあった。
この説明でモヤモヤが晴れた。やっぱりこのシンポジウムに参加して良かった。

じゃあ、どんな質問をしようかと考えていた。質問するなら岡嶋さんにしようとひそかに決めていた。
でも冒頭のとおり、これ以降質問する気が失せてやめてしまった。


神村先生
シンポジスト1について:成果・結果をみずに「うごいてみる・やってみる」だけ。
イップスの治療に通じる。感覚だけ目の前のネットに向けての投球・結果の無視。
シンポジスト2について:場のセッティング、成果を残すための恐ろしいまでの強引・剛力さ。ほとんど高飛車。
シンポジスト3について:お互いの感性を微調整している。(チューニング)
指定討論者について:工夫というのは分化強化があると思う。文脈ひっくりかえし指定討論である。

ここからあとは誰も質問せずに、シンポジスト同士で質問し合うという苦しいパターン。
うーん、面白くない。
司会者ももっと盛り立ててもよいのに。
うーん、面白くない。



こうして学会1日目が終了。
このあとKさんをご飯に誘って牛タン食いました。



看護でこうやって認知行動療法をやっている仲間も多くないので、こういう仲間と触れ合える機会は最高に楽しい。看護の認知行動療法家は寂しいもんですよ。
でも自分の臨床のことだったり話し合えてとてもいい時間が過ごせました。




Day2:10月3日(土)


質問行動:3(シンポジウム:1回、ポスター1回、ワークショップ:1回)

④大会企画シンポジウム「認知行動療法のスーパービジョン」
企画:田中恒彦(滋賀医科大学)、岡本利子(嶺南病院)

・中村(兵庫教育大学)「大学院におけるスーパービジョンによるCBTトレーニング」
こんなことを言っていた。
「スーパーバイズはコロキウムのコメントをイメージしていて、ズバッと要点をついたり、ああと気づかせたりしていたがうまくいかない」
「認知再構成法や動機づけ面接を取り入れて思考プロセスを振り返るようにしている」
「コメントは学生がメモを取るのに必死だから、コメントのスピードに気をつけるようにしている」
「学生は一回ではなく、何回も言わないとダメなんだ」

うーん、当たり前のことを言っているだけだなぁ。学習理論とか取り入れながら教育をしているわけでもなさそうだし、スーパーバイズというよりも教育。教育もうまくいっているのか、うまくいっていないのか話を聞いていてわからない。

・小林奈穂美(カウンセリングルーム さくら)「開業カウンセリングルームでのスーパービジョン‐求められる早期育成とその難しさ」
こんなことを言っていた。
「スーパーバイズの仕方に色んな変化がある。
メールスーパーバイズのメリットは、空き時間を活用できること。デメリットはメールでは伝わっていない葛藤があり強めのアドバイスになる傾向がある。
映像を通したスーパーバイズのメリットはやり方がわかるのでアドバイスがしやすい、デメリットはスーパーバイザーの負担が強い、そしてクライアントの負担もある。
陪席でのスーパーバイズのメリットは時間的コストが削減できる。デメリットはバイジー・バイザーとの時間の確保が難しい。
最終的にはグループスーパーバイズとなった。これがとてもよい印象である。事例検討を行う。ロールプレイを通して参加者に学ばせることができる」
このあとスーパーバイジーの感想を同カウンセリングルームのスタッフ二人が述べた。

「バイザーのスーパーバイズが課題である。自信がなくてもはったりでも言わざるを得ない状況にある。CBT専門家から年単位のメールスーパーバイズ契約を行ったことがあるが、これはコスト的に若手には厳しい。事例検討会などが有効か。」

ハッタリでも言わざるを得ないという発言にすこしぶっ飛んだ。別に師弟関係は求めていない。CBTって協働関係が大事なんだろう?
私はスーパーバイジーとして色んな先生から教えてもらうことが多いのだが、偉そうにハッタリを言われても困る。

開業カウンセリングルームというのは、もっと厳格にスーパーバイズすることが大切なんじゃないのかなぁ。スタッフが商品みたいなものでしょう?だからスーパーバイズは商品の品質改良みたいなもので。

中川彰子(千葉大学子どものこころの発達教育研究センター)「理想的なCBTスーパービジョンは?」
この医師、とてもうまくやっているんだなぁ、そう感じさせるプレゼンでした。
発表の仕方って本当大事だなぁと思っていました。宣言もさりげなく入れているところもよかったです。
中川先生は九州大学出身のようで、山上先生に相談すると「うーん、どうしたらいいかな」と一緒に悩んでくれたそうです。そういう風に一緒に考えるのが大事だと。
さきのシンポジストはこの発言を聞いてどのように感じたんだろうか。
スーパービジョンの内容は、陪席・アセスメント・症例検討会への参加、学会発表などをあげていました。内容さえ普通でしたが、なんか負けてるなぁ、悔しいなぁというような感覚でした。


浅野憲一(千葉大学子どものこころの発達教育研究センター)
千葉大学は大学院に入って認知行動療法を学べるそうです。

修士があれば看護師も入学できます。過去に5~6人看護師がいたそうですよ。
認知行動療法を学びながら、学位もとれる、とってもいいじゃないですか。
しかもかなり濃厚なスーパーバイズを受けれるようです。
千葉じゃなければ、私は行っているかもしれませんね。

ここでもバイザーの教育はまだできていないとおっしゃっていました。
しかし、スーパーバイズのアウトカムは何だと考えているんでしょうか。
実際のセラピーのアウトカム?
バイジーの成長?それをどう評価するの?その体制をととのえないとだめじゃないの?
などと考えていました。そしたら次のシンポジスト田中先生がその辺りを明確にしてくれます。

田中恒彦(滋賀医科大学)「認知・行動療法におけるスーパービジョン体制の確立に向けて」

さまざまな情報提供をいただきました。
書籍、スーパービジョンのパワーゲームには恐ろしいことが書いてあるそうです。詳細はおっしゃっていませんでしたが。
(ネットで調べてみると、とあるブログで誰かが書評を書いていました。)

田中先生自身も行動療法学会で「君のは行動療法じゃないよ、バイザーは誰だ、そしたらバイザーも行動療法がわかっていないんだよ」ということを言われたそうで、ではどうしたらよかったのかと質問したところ、誰も明確な答えを出さなかったようで。原井先生が説明してくれたようです。
説明する能力がなければクリティークする筋合いはないわけで、ただいちゃもんつけてきたということでしょうか。

CBTのSV成立条件
・BABCP認定者が行う。
・ムービー・ボイスなど使う。
・Pro・Manaは混同しない(?←メモに書いてあるけど、何のことかわからない)
・CTS-Rなどの面接尺度を使う。
・個人SVは必ずする。グループSVも行う。

SVがSVとして機能している評価:SAGE(7件法、3因子)

この後、滋賀医大の稲垣先生が、「シンポジストの行っているのはスーパービジョンではなくて、コンサルテーションでしょ?」とおっしゃっていた。私がシンポジストに感じていた違和感はこういうことだったのかと、納得。



行動療法士WG企画シンポジウム「条件反射制御法は、行動療法として認知されるか?-実践から後付けの理論を考えるー」


ポスターを見ていたら、少し遅刻してしまった。
会場に入ると、条件反射制御法のロールプレイを行っていた。
条件反射制御法には4つのステージがある。
第一ステージは入院中だったら200回めざす。外来だったらお酒を断ってから行なう。
岡嶋先生の解説では、負の弁別刺激(おまじない)設定段階だそうだ。このステージではキーワードアクションKWAを言う。
アルコール使用障害の人なら、「私は今、お酒をやれない」
これを1回やったら20分あける必要があるそうだ。
これをやったら作業表に記入する。
第二ステージは作文をまず書かせる。そして疑似物をみせたり、それに似たものを摂取される。岡嶋先生から言うと現実エクスポージャーである。
KWAによって摂取行動への衝動制御ができていることを患者に体験させ、おまじないの威力(制止条件づけの完成)を知ってもらう。
「今の欲求は?」
「8くらいです」
空のワインボトルにぶどうジュースを入れておき、それを飲むまでの過程の欲求を確認する。欲求が9にあがったらKWAをやってもらう。次KWAをやるのは20分後である。それでも下がらなかったら20分あける。

・疑似物質
ニプロの疑似注射―偽覚せい剤
サティスフェイクー偽薬
疑似たばこ

第三ステージは想像。第2ステージを200回超えた頃に入る。依存物質を手に入れ、摂取するまでの詳細を書く、つまりイメージエクスポージャー。
第4ステージは、おまじないを4~5回、疑似想像を繰り返す。

指定討論
原井先生
当日のスライドはこちら
シンポジウムのテーマにはいっさい触れず行動療法の説明をしてもらい、とても勉強になった。






ワークショップ5「エビデンスに基づく臨床研究:エビデンスを理解するための基礎講習」
三田村仰(関西福祉科学大学)

・コクラン共同計画について

ウィキペディアより引用
コクラン共同計画 (Cochrane Collaboration、略称CC) は、治療と予防に関する医療情報を定期的に吟味し人々に伝えるために、世界展開している計画である[3]。1992年にイギリスの国民保健サービス(NHS)による根拠に基づく医療政策と実践、またその定量的な評価の一環として始まった[3]
ランダム化比較試験(RCT)を中心として、臨床試験をくまなく収集し、評価し、分析するシステマティック・レビュー(sytematic review)を行い、その結果を、医療関係者や医療政策決定者、さらには消費者に届け、合理的な意思決定に供することを目的としている。
コクラン共同計画の日本支部は、2014年に設立された[4]
コクラン共同計画を冠すアーチボルド・コクラン英語Archie Cochrane)は、根拠に基づく医療(EBM)の3人の父のうち1人と言われ、以下のことを提唱した[5]。イギリスの無料の社会保健には有効な治療のみ無料とすること、イギリスではじめて行われたランダム化比較試験を重視すること、そうしたデータを批判的に吟味し遅れることなく必要とする人に届けることの提唱である[5]
コクランの弟子で、イギリスの産婦人科医のイアイン・チャーマーズは、周産期領域で行っていたシステマティック・レビューを1992年にすべての領域で開始し[6]、国民保健サービスの研究開発プログラムをサポートするために設立されたイギリスコクランセンターのセンター長となった[7]
1993年7月にイギリスのコクランセンターがBMJ(イギリス医師会雑誌, British Medical Journal)と共同で会議を開き、1994年に論文となったものが、『システマティック・レビュー』(Systematic Reviews)として出版されている[8]。それはシステマティック・レビューとメタアナリシスに関する章で構成されており、システマティック・レビューに関しては、バイアスとエラーを最小にする方法が議論されている[9]。バイアスを避けた試験であるランダム化比較試験を、バイアスを避けるために未公表試験を含めてメタアナリシスすることで、根拠に基づく医療で用いるための良質の根拠を得ようとしているわけである[10]。そして、そのようにして得られたシステマティック・レビューは、遅れることなく情報を必要とする人々へ届けられなければならない[11]
→MEDLINE(PubMedで利用可能)


・EBMにおけるエビデンスの階層
よくあるエビデンスの階層表。三角の頂点にあるのが、N‐of‐1RCT。つまり単一事例研究。
単一事例研究がより信頼できる研究になっている。RCTがその下に位置している。
これは実験が臨床家によってエビデンスの立ち位置が変わるんだよということを示しているらしい。

・APA(アメリカ心理学会)の心理療法の効果がネット上にアップされている。
その検索の仕方を知ることができた。


・ESTを巡る主な論点
印象的だったのが、研究室で効果が求められた介入法は容易に現場で実行できるか?という説明で、トークンエコノミーがいつの間にか使われなくなったことに触れていた。
精神科では30年前にトークンを使いまくっていたようで、一定の効果はあったが、すたれていった。

・いちばん心に響いた三田村先生の言葉
有用性研究の例でLappalainen et al(2007)が修士学生がACTとCBTのトレーニングを受けて、クライエントにランダムにACT・CBT群に割り当てて、その結果いずれの群のクライエントにおいても有意な治療効果があった。つまり、修士レベルの学生であっても適切なトレーニングを受けることで効果的なACTやCBTが実行できることが示された。
→学生だってできる。1人のスーパースターはいらない。やることがきちんと記述できるのがCBTである。誰でもできることが大切。

・実験デザイン
測定指標の工夫を示してもらって、とても参考になった。

こうして二日目が終了。
中京大学院卒の臨床家と仙台駅前での飲み会に参加。
とても楽しい時間を過ごせた。

・DAY3(10月4日)
一般公開シンポジウム「行動療法・認知行動療法の現在と未来」
熊野先生。いつもと同じような話をしている気がしたのは、私だけか。
井上先生の話を始めて聞いた気がする。なんか誠実な人で、ひそかに熱い人なんだなぁと。もっと聞きたい気になった。
鶴先生。前日のシンポジウムでなかなか好評だった動作法も少しみせてもらえた。こういう教示の仕方とか、修得するまでにどんだけ時間かかるんだよと思った。井上先生も、どのように教示の仕方をしているのかと質問していたし、それによって効果も違うだろうと話があったが、その通りだろうと思った。
若島先生。ブリーフセラピーについて。面白い先生だ。認知行動療法に完全に同意しますとおっしゃっていたし、私がやっていることはもしかしたら認知行動療法だと。でも話を伺うに、ブリーフセラピーでうまく治療できているんじゃないかと思う。
このあとに話題にもあったが、認知行動療法は効果を出すことに貪欲だからこそ、エビデンスというものができているが、ブリーフセラピーは効果を出すということを重視していないのが、そこそこ治癒しているらしい。この学会中にもブリーフセラピーの極意という本を看護師仲間に勧められたが、ブリーフセラピーも学んでみたいとこのときに思うようになった。

ワークショップ15「認知行動療法入門Ⅱ:ケースフォーミュレーションと臨床における意思決定―模擬面接から学ぶ」
田中恒彦(滋賀医科大学)
私の作ったケースを元にOCD患者の模擬面接を行ってもらった。
正直、模擬面接の前の座学の内容がふっとぶほどいい内容だった。
初回面接でイメージエクスポージャーを行っていて、あまり汚染恐怖のOCDにイメージエクスポージャーのイメージがなかったので、斬新な感覚に襲われ、患者役を演じた。
患者役用に用意したかつらもややウケだったのでよかった。

エクスポージャーを進め方、教示の仕方については、もっともっと腕を上げなければいけない。
でないと、まずやってくれないだろう。









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