日本認知行動看護学会第三回大会に今年3回目の参加を果たしました(皆勤賞です)。
私の知る限り、皆勤賞を果たしたのはA病院のTさん、I病院のNさん、G病院のIさんと私の4名しかいないと思います。
皆勤賞者の視点から過去2年の学会との違いや変わってないこと、日本のCBTを実施する看護師が変わらなければいけないことを自由に述べたいと思います。
まず感じたのは参加者が昨年度よりも減っているということ。
CBTは一時期に比べると熱気がなくなってきているような気もしなくない。
CBTを勉強しようとか、実践しようとか、そういうことを考える看護師は減ってきているのではないかと仮説が立てられます。CBTアレルギーと言われる方もおっしゃりますし、CBTに関する嫌子が出現することで学会参加行動が弱化してしまうのでしょうか?
日本の看護はエビデンスを優先するよりも、流行りを優先するようなところがあるように感じるんですが、まさにその現象の一つなのではないでしょうか(価値の転換)。確かにCBTを更地でやり続けるのは、とても苦労する。その苦労に患者のためにと突っ込もうとする気持ちがなければやり続けられませんからね(嫌子出現の阻止)。
他の参加者の方がおっしゃっていたように、上記の看護師の問題だけでなく、学会サイドの学会の事前アナウンスの問題、ホームページのわかりにくさ、情報提供の少なさとかも理由にあるとは思いますが…(弁別刺激の問題)。
CBTの研修も全国各地で行われていることも確立操作となっていて、参加することに対する好子も感じられにくくなっているのかもしれません。
しかしながら、毎年感じることですが、参加する人はやはり熱意に満ちていると思います。
自分を変えたい、病棟を変えたい、看護を変えたい、日本を変えたい。
そして患者を良くしたいと本気で考えている人が少なからずいるんです。
他の学会に参加しても、発表者の欲求解消みたいな発表が多かったり、自分の価値をあげようとする姿が多くみられるので、心揺さぶられることはそんなにないんですが、毎回自分のやるべきことを再確認・発見する機会にはなっていると思います。
少し学会の内容をレポートしてみたいと思います。
①大会基調講演
っていうか、中身去年をあんまり変わらんじゃん( ;∀;)と思いながら少し聴講させていただき、自分の準備もあるのでところどころしか見てないです。
②大会講演
最初の方しか見ることができませんでした。看護部長さんの講演ということで「校長先生の朝礼」のようなものかなと勝手に想像してましたが違いました。看護部長さんはお話が上手で、内容も面白かったです。
余談ですが、学会後にこの看護部長さんに自分の企画について、「こんなエンターテイナーがいたとはね」と褒めていただけたので、とても嬉しかったです。これまでの私は看護管理職の方からCBTのことで褒められる経験はほとんどなかったので、たぶんこの看護部長さんとのやりとりは忘れないだろうなぁと思います。
③認知行動療法実践看護師会
毎年私が企画して実践している舞台です。
私の同志がとても喜んでくれるので今年も頑張ってみました。
同志は今年も喜んでくれました。私の同志は褒めるのが上手なんだなぁと思いました。同志によって強化されているわけですから。
私の反省点は、司会の能力が足りなかったな、問題の出し方が甘かったなということです。
それでも参加していただいた皆さんは、一生懸命応えてくれたので、それが素直に嬉しかったです。
せっかくなので資料を期間限定で公開したいと思います。
共有リンクなので、11月には共有を解除するのでお早目にどうぞ。
さらに過去の資料も公開することを検討しています。後日ブログにアップさせていただきます。
日本認知行動看護学会:資料
④特別講演
こちらは昼ごはんを食べていたり、片付けしたりしていたこともあってほとんど見れてないです。
統合失調症の患者にトークンエコノミーを行ったなどのケースを紹介された橋本先生らしい行動分析を中心とした講演となっていたと参加者の方に伺いました。
⑤一般演題
行動療法に関する発表・アセスメントが多かったです。学会名称が日本行動看護学会、日本行動科学看護学会という名前の方が的確なのではないかと思うほど、これまでの行動療法中心とした発表が目立ちます。
過去の発表も一事例の看護研究が多いです。
しかしながら、発表のほとんどで行動療法の研究法である、単一事例実験法は行われていないのが残念です。単一事例実験法とは、反転法とか多重ベースライン法とかのことですね。
入院患者さんって特に色んな独立変数があると考えるのがふつうです。たとえば医師が薬物療法をしていたり、OTが作業療法をしていたり。SSTのような集団療法を行っているかもしれません。色んな人がいろんな介入をやっているので、自分の行っていたCBTが効果があったんだというには根拠に乏しいのではないかと思います。
最低でもpre-postの評価尺度を取り扱っていることが前提だと思いますが、それすらなければ有効性を示すという研究成果は見いだせないと思われます。それにプラスしてfollow-upのデータが入っていれば、さらによいです。認知療法を中心に取り扱った看護研究でも最低限このあたりは示しているので、看護研究を単なる作文で終わらせないために、データは適宜とることは忘れないようにしたいものです。
ここの学会発表っておすすめなの?と聞かれることがあります。
近隣の看護系学会としては
①日本精神保健看護学会、②日本看護学会、③日本精神科看護学術集会
があります。それぞれメリットはあると思いますが、この学会は演題を送ると比較的発表できる確率が高いのではないかと思います。ハードルは高くないですが、CBTという専門性は高いかなという感覚ですね。簡単に言うと、CBTという言葉が入っていると誰でも発表できるということかもしれませんね(´・ω・`)
⑥ケーススタディ
一般演題のときにも思ったんですが、フロアの皆さんの質問する数が少ないなぁと思いました。
面白くないのか、用語が難しいのか、質問すると恥をかくという認知が機能しているのか、いずれかはわかりませんが、毎年質問する人やリアクションをする人は限られているなぁと思います。
ディスカッションが成立しないのは司会の問題なのか、学会の雰囲気の問題なのかわかりませんが。
ケースは認知再構成法・行動実験を通した認知の拡大を狙っていて、確信度や不安の低下があったという発表でした。話を聞く限りは暴力が安全希求行動・回避行動として機能していると思うんです。これで入院中に特定の人に対する暴力はなくなったとしても、私は不安になります。外来で同じような状況になったときに、自分で認知再構成ができるのかという問題とイライラ・不安のときに暴力以外の代替行動を強化しておかないと、再び暴力は起こりうると考えたからです。学会テーマにも重なるんですが、般化できるようなアプローチをしていかないと、入院中の取り組みが無意味に終わってしまう可能性もあるんですよね( ;∀;)
学会中外に抜出すと、秋空が広がっていてすがすがしかったです。こんな秋空に勉学に励むなんてと看護部長さんもおっしゃっていましたが、確かに勿体ない天気だなと思いました。
学会が終わって外に出ると、17時半ごろなのにもう暗くなっていました。
その空を見ながら、学会が終わったという解放感に浸っていると、CBTセンター西川先生ブログに「学術集会の場という機能」の内容をふと思い出しました。
「学会の機能とは…学問や技術の習得に・自分の業績を積みに・日頃の疲れを癒しに・観光に・旧友との飲み会に・合コン…etc. いろいろあるそうです。職場外の理解者を求めて・自分の下手さの言い訳をするために・役員会に出席するために、などもあるのでしょうね。
ベテランになると…学会という大きな組織になると◯◯委員会に追われるとか、収支の管理が大変とか。ディスカッションの質が物足りないとか、与えるばかりで得るもの少ないとか。機能は小さく、コストばかり大きくなる。
いろいろあるかと思いますが、この場が今後も末永く続き、個々の会員が自分の好きなようにこの場を利用していけたらいいなと思っています。
(CBTセンターブログより抜粋:http://cbtcenter.jp/blog/?itemid=1639)」
なんのためにやってきたのか、参加したのかと言われるとやはり西川先生のいうように自分が好きなことをやっているだけだ、ということに尽きるのではないかと思います。
学会が終わって同志と卒業式を行いました。
もう知らない間に4~5年の付き合いになっていたんですね。
みんなで集まって飲み会をするなんて初めてのことで、みんな年代も違うけれど楽しかったです。
何かこの仲間の中では夢中になれる気がするんです。
そして僕らは将来の夢の話をしました。
年代も違うのに、みんな同じ方向を見ていて、やはり同志なのだなぁと思いました。
エビデンスは流動的です。
今はCBTにエビデンスのある疾患が多いわけですが、100年もするとCBTはエビデンスでなくなっている可能性が高いわけです。
看護は100年後も変わらず医療の中に存在し続けます。そのときCBTはエビデンスがなくなっていたとしても、日本の看護師は患者さんのためになることはなんでもやると思います。CBTがなくなって、提供する看護ケアの中身は変わっていったとしても、看護師の志は変わらないと思います。
CBTを同志と一緒に学ぶフリをして、実はわれわれは看護師としての志を学んでいるようなのです(いやー、もちろんCBTは頑張って勉強してましたよ|д゚) )。それか、CBTを通して看護師としての志を学んでいるのかもしれませんね。
お疲れさまです
返信削除今年は参加できず皆勤賞ではなくなってしまいました。
いいなぁ、一緒に語り合いたかったなぁ。
来年楽しみにしています(*´∀`)
富樫さん
返信削除コメントありがとうございます。
一緒に参加できなくて本当に残念でした。
富樫さんの近況・ご活躍などもぜひお伺いしたかったです。
なかなか会う機会がありませんが、皆で語り合う機会を作りたいですね。
ありがとうございます。また機会があれば是非!
削除それまでお互い頑張りましょう~!