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【重要なお知らせ】ブログの引越しをします

視聴者の方から過去のログが探しにくいといったご指摘やスマートフォンでの見にくさ、コンテンツの単調さ、内容の薄さなど色んな問題があり、今回ブログの引越しをさせていただくことになりました。 思えばこのブログも約5年くらい行なっていたんですね。 最初の方は本当に思ったことなんか書...

2014年10月30日木曜日

研修情報:第10回行動療法研修会

行動療法研修会:チラシ

看護師の視点から研修会の楽しみ方。
①鈴木先生は摂食障害の治療で有名な先生です。摂食障害の認知行動療法マニュアルというものが出版されていますが、看護界でも摂食障害にCBTを用いる事例は少ないと思います。摂食障害には神経性食欲不振症、神経性過食症がありますが、前者に対するCBTにエビデンスがあるとは言い切れず、対人関係療法の効果が認められつつあります。紹介文を見る限り、CBTを前提にしつつ対人関係療法を用いている、またその治療を進めていく上で動機づけ面接を行っているということでたくさんの治療法を学べる、まさに一石二鳥な研修内容になりそうです。
CBTも対人関係療法も動機づけ面接も看護師が看護として行いやすいので、鈴木先生の研修を足掛かりとして、摂食障害の看護に磨きをかけることができると思います。

②奥田先生は行動分析学という行動療法の一種で世界の子どもを救うブラックジャックと言われています。紹介文を見る限り、行動分析学について研修会で紹介されるのではないかと思います。行動分析学は看護師に馴染みはないんですが、一度覚えるとどんな患者さんにも役立つ技法がいっぱい詰まっています。奥田先生の著書も読みやすく、比較的安く買えるのでご一読していただき参加されるとより理解ができるかもしれません。
強迫性障害、発達障害、行動問題を抱える患者さんの看護ケアを工夫したい方は参加する価値があると思います。


③原井先生は行動療法・動機づけ面接で日本で最も有名な精神科医ではないでしょうか。
研修の内容はおそらく家族が動機づけ面接を学んでいくことで、家族のコミュニケーションを良質なものにして家族関係を良くしていくという内容になるのではないかと思います。
つまり、家族看護を学びたい人にはおすすめの研修となります。薬を飲まなければ病気が悪化するのに家族が薬を飲んでくれない、生活習慣を改善しなければ家族も生活できないのに改善しようとしてくれないなど患者さんに接する家族も苦労していることとと思います。そういった家族の方にどのような看護を行えるのかを示してくれるのではないかと思います。

④岡嶋先生は日本を代表する女性行動療法家です。ケーススタディなどで岡嶋先生の行動療法をお聞きすることが多いのですが、岡嶋先生の行動療法に母性を感じるのは私だけでしょうか。行動療法家は男性が多いのですが、視点とかやり方とか「お母さん」的な行動療法だなと思っていて、とても面白いです。この著作をベースに自分で病気を治すことを進めているわけですが、CBT自体セルフコントロールを行う治療であるので、OCDに限らないとは思いますが、患者さんが自分で直そうという気持ちがあれば、看護師はそれをサポートしていくだけになってくるので、だいぶ仕事は楽になりますよね。この本をご一読して参加されると、OCDの患者さんへの看護が理解できると思います。





●第10回行動療法研修会  主催:OCDの会
日 時: 2014年11月23日(日)  9:15受付 9:30~16:30(質疑応答含む)
会 場: 愛知県産業労働センター(ウインクあいち) 1103・1104
受講料: 各講座 一般 4,000円 ・ 対人援助職 5,000円



WS-1 「青年期の摂食障害について」講師:鈴木 太先生  時間:9:30-12:30  定員:80名
 摂食障害は、摂食に関連した行動が障害される精神障害であり、強迫スペクトラムの一つとして論じられてきました。最も典型的な病型である神経性食欲不振症、いわゆる拒食症では、患者の体重は低下して、しばしば生命の危険を生じます。過食や嘔吐を繰り返したり、下剤や浣腸を乱用する患者もいます。摂食障害の認知行動療法のマニュアルは、健康な食習慣について教育することが摂食障害の治療の最初の一歩であると述べています。しかし、そこに至るのは容易ではありません。 摂食障害の患者に接したとき、家族や治療者の多くは、何が健康な食事であるか教えようとするでしょうし、摂食障害であり続けることの弊害を説き、生命を失う危険を伝えて患者を脅してみたくなるかもしれません。このような「教育的な」アプローチの結果、一部の患者は回復しますが、その一方で、多くの患者は低体重に留まってしまいます。 神経性過食症の認知行動療法に関する臨床研究では、患者の強迫性が高く、摂食障害の症状が重症であればあるほど、定型的な認知行動療法において治療同盟が損なわれ、寛解率が低下することが示されています。どのようにしたら、家族や治療者は患者の回復を支援できるのでしょうか。このワークショップでは、主に青年期の臨床例について、まず、摂食障害のそれぞれの病型における疫学、症候学、経過を概観します。そして、動機づけ面接の思想と技法を参照しながら「変化をいかに動機づけるか」ということに重点を置いて、入院行動療法、外来での臨床管理、対人関係療法について紹介します。



WS-2「健康な生活を取り戻すための行動分析学の可能性」 時間:9:30-12:30  定員:80名 講師:奥田 健次先生(行動コーチングアカデミー代表/桜花学園大学大学院客員教授)過去の本研修会にて、強迫性障害について行動分析学で用いられる「行動随伴性」の枠組みから悪化するメカニズム、改善するメカニズムを紹介した。「阻止の強化」による弊害として紹介し、その後、これは拙著で詳しく紹介している(『メリットの法則-行動分析学・実践編』集英社新書)。ちなみに、それまでの教科書では「阻止の強化」について解説したものは稀で、その弊害について解説した教科書は上記の『メリットの法則』が初めてである。 今日に至るまで、こうした理論的分析は実践レベルで自在に利用できるようになってきた。同時に、ヒトを含めた動物が健康な生活を送るための行動随伴性の種類についても、今まで以上に明らかになってきている。これらの知識や技能については、医師ならびに心理職や教師、当事者や保護者などが知っておくと大いに有益であるため、これまでの知見をいくつかの事例を取り上げつつ紹介する。 さらに、健康な生活を阻害するような諸問題を「上書きするような方法」で、まったく新しい行動随伴性を設計していくことの有用性について紹介する予定である。



WS-3「家族のためのコミュニケーションスキル講座」講師:原井 宏明先生  時間:13:30-16:30  定員:80名病気に苦しむ家族がいれば,その人に対してどうにかしてあげたい,と思うのは普通のことでしょう。人が苦しむさまを見るとき,その人を愛し子のように大切に思えば思うほど,その思いは強くなります。その人のためには己の命も差し出せるような献身的な慈愛と言えるでしょう。「私が生み育てた」「私が衣食住を与えている」「私がいなければこの人は生きていけない」と強く思えば思うほど,そこまでしてあげているのに「どうして私の思う通りにしないのか?」というような怒りのような気持ちが沸くようになります。親の愛は厳しさも伴います。でも,献身と厳しさがあれば,人が思うようになると思ったら,それは大間違いです。この二つは人を助けたいという動機としては良いものでしょう。しかし,やり方としては相手を逆の方向に向かわせてしまう困りものです。にもかかわらず,うまく行かないと分かっていても,家族はこのやり方を続けてしまいがちです。献身と厳しさは罠にもなるのです。家族がこの罠から逃れ,大切な人が治療に向かっていくようにするためには四つのことが必要です。1 献身と厳しさの罠に気づく 良いことをしているという自覚に騙されない2 どれだけ病気が重くても,それも相手の自由意志の表れとして尊重する敬意と共感3 相手の行動,言動の変化に注目し,変わるところを見逃さない注意深さ4 相手の変化を促す戦略的な言い方,ポジティブな言葉づかいと聞き返し,開かれた質問動機づけ面接のDVDを利用しながら,あなたのコミュニケーションスタイルが変わり,あなたの大切な人が変わっていく見通しがつくところまでをこの講座でサポートします。



WS-4「エクスポージャーと儀式妨害、どっちが大事?-OCDを自分で治そう!-」講師:岡嶋 美代先生  時間:13:30-16:30  定員:80名  強迫症と名前を替えた強迫性障害(OCD)ですが、どんなに名前が変わっても治療の仕方が変わるわけではありません。決め手となる治療はERP(エクスポージャーと儀式妨害)のままです。最近、本の影響かERPできますかという初診予約の電話がかかってきたりして喜んでいますが、「やさしくわかる強迫性障害」が出版される前にいつもお勧めしていた「OCDを自宅で治そう」という本があります。それにあやかって「OCDを自分で治そう!」が今回のテーマです。さて、このE(エクスポージャー)とRP(儀式妨害)、どっちが大事か知っていますか。どちらかひとつだけでは、いまひとつ治らないからセットになっているのですが、あえてはずすとすればどっちなのでしょうか。これがわかると自分で治すコツをつかむことができます。昨年の研修会では、「あえてはずす」ではなく、「あえて足して」マインドフルネス儀式妨害というワークショップをしました。EとRPとマインドフルネス、どれかはずすとすれば、いったいどの順番でしょう? そんなマニアックなことを患者さんたちが知ってしまうと治療者は大変かもしれません。「自分のことは自分でしましょう。」と小学生は習いますが、病気に関しては、「医療機関に頼らずに自分で治そう」とは言われません。でも行動療法はそれを推奨します。癖になった行動を変えるには病院に行くときだけでなく、日々の活動の中に小さな変化を作っていくことが大切です。そんなちょっとしたコツをお伝えできればいいなと思っています。

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